きいろいばら
荒城の月という日本のばらの品種があります。はじめて黄色の薔薇に関心を持ったのはあるカタログがアーチ仕立てのそれを載せていてくれたときでした。大きくて柔らかいフォルムで、咲き誇るというよりは、満月が同時にいくつも輝いているような白昼夢の世界といった感じで儚げに咲く雰囲気に心を掴まれましたのを今もはっきりと覚えています。
やはり、ばらといえば、繊細な淡いピンクやアプリコットカラーがやはり日本人好みで、私の実家もジャック・カルティエやイレーヌワッツなどで彩られていましたが、もしも広大なばら園を持つことでもあれば、こうした大輪の淡いレモン色のばらをのびのびと植えてみたいと思っていたものでした。特に、昔ながらの青い瓦屋根の日本の住宅なんか、ため息が出るほど似合いそうです。
流通上このばらが荒城の月であるわけはないのですが、思い出の写真に似た雰囲気の満月色で好きです。