海のロランティーヌ

南フランスの美しい風景、レシピ、それからフランスの今…

日本人、中国人、フランス人、ドイツ人

このあいだパリに戻り(やはり親族のほとんどがパリかパリ郊外にいるのと、書類関係の件でときたま戻ります)、「おやっ?」と思うことに遭遇しました。

 


シャンゼリゼの裏路地でパンを買おうとしていたときのことです。店員の男の方が、「はいはいゴマバゲット一本ね。あれっあなた日本人?」と私の仕草や様子を見て訊いてきました。
別に日本人相手の商売をしている店でもない、ふつーのおじさんが「中国人?」ではなく「日本人?」という選択肢が思いつくフランス人は割と珍しいのでちょっと気になって、「そうです、よくおわかりになられましたね。よく、違いを知らない方からは中国人と聞かれるものですから、びっくりして」と答えると、おじさんは「あーなんか動きとかぜんぜん違うから!ぼくはね何年か前日本に旅行したし、旅行前は言葉が心配だったから、日本語学館ですこし勉強していったんですよ」と行って、「Voilà 45サンチーム à vous rendre」ときれいなアクセントの日本語まじりで答えてくれました。
そのやりとりを隣で掃除しながら見ていた、若い北アフリカ系のど派手な女の子が、「なにそれ中国語?」とおじさんに聞いたとたん、きゅうにおじさんのスイッチが入り、
「ぜんぜん違う違う!はーこれだから無教養ってのは困る、いまのは日本語だよ!」
「えそんなんあたしが知ってるわけ無いじゃん笑」
「あのね最低限の教養って大事だとおもうよ。日本人と中国人は全然違うわけ!!!見てわかるでしょそんなん」
「はわかんない」
と、私がここでパンを買ったばかりに熱い討論が始まっていてちょっと気まずかったのですが、おじさんが最終的に、「あんただって、外国に行ったときに『あ、あんたドイツ人?』て言われたらどう思う?いらつくでしょ!国籍ってのは大事なの!」というと、女の子のほうも「ま、まあそうだけど…」と言ってその場が急におさまったのですが、これは強烈な体験でした。
まず、おじさんにとっては、この明らかに移民系の女子も、なんの違和感ひとつもないフランス人であること。それから、ドイツ人と思われるのはちょっとしゃくにさわる、というこの二人の共通指向。
このふたつが、この二人のかなり人間性が異なるひとの間で共通していることがあまりにも印象的でした。




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