海のロランティーヌ

南フランスの美しい風景、レシピ、それからフランスの今…

おばあちゃんのオムレツ

今日は久しぶりに繕いものをしました。
思えば日本にいたときに繕い物をしたことはそんなになかったと思います。

 

滑る素材のスカートの裾がほつれて…というのを二度ほど直したことがありますが、それ以外ではそもそも、服に穴が空いたり破れたりという経験がなく、あるいは下着なんかの小物であれば、「あら潮時かな、次のがあるから捨てよう」となるか、そんなことが起きる前に「あーなんかこれ古くなっちゃったなあ、捨てよ!この服ももう飽きちゃってたしよく着倒したよね!」とか思ってばんばん捨てていたんだと思います。
今フランスに着て思うことは、「着倒す」のレベルが根本的に違うということです。イヤミなほど高価な服を着ろとは絶対にいいませんが、みんな、衿がのびきって胸元がはだけたTシャツや、洗いすぎで繊維がすり減りきってへろへろの生地、裾がボロボロになってもはやフリンジ化したジーンズを見かけるのはしょっちゅうですし、それが小学生程度の遊び着ならわかるのですが、いいお歳のおじいさんから、恋人探しに忙しくしている青年、爪はキラキラブレスレットジャラジャラの女子までふつうに見かけられる光景なので、圧倒されます。 よほど思い入れがある服なのか、または別に頓着していないのか、服を買うくらいなら他のものを買いたい、という性格なのかちょっとそれぞれ理由はあるかと思いますが、最初のころはほんとうにこれが受け入れられないというか、最低減の身だしなみの概念というか、毎回気になっていました。 夫についても同様に、10年はゆうに前から着ているTシャツの裾が伸びきっているのでもう外では着ないように命令し部屋着にさせていたのですが、ある日パソコンで、15歳くらいの頃の写真を見せてくれたことがあり、その写真に写っていた、当時飼っていたという犬と、顔は同じじでもずいぶん少年らしい夫が着ているのか服が、まさにいま部屋着として活躍しているTシャツで、それを指差しながら「ほら、この服、この時からあるんだよ!」と弾んだ声を出すのを見て、その時初めて、ああそういうのもいいんだなあと思いました。

 

f:id:laurentine:20181109005627j:plain

 

今日はおばあちゃんがオムレツを作ってくれました。大変好物です。

私は魚をさばくのもカニのふんどしを外すのもレバーを血抜きするのも全く抵抗ないのですが、オムレツだけはからきしだめです。努力がどうとかいう次元になく、オムレツが私を拒否しているとしか思えません。
なのでおばあちゃんのオムレツは大変うれしいです。オムレツが上手なフランスのおばあちゃん、て素敵ではありませんか。

作り方

たまご(これは4個つかって焼いたのを、おばあちゃんとはんぶんこしました。)
庭のハーブ:チャイブ、パセリ、セージ
ラルドン・フュメ (脂肪の多い日本式のブロックベーコンが近いかと思います。可能であれば一度軽くスモークするとよりよいです。)
オリーブオイル ふたさじ (ベーコンに脂身があまりついてないときは足してください)


1 ラルドンを小さく刻み、オリーブオイルと一緒にフライパンに入れ炒め、吐かせた脂でこんがりとさせます。
2 炒めているあいだにたまごをボウルに割り入れ、ハーブをすべて刻んでフォークかお箸でかきまぜます。
3 フライパンが最高潮にになったところで 2を流し込み、フライパンの中を木べらかお箸でぐるぐるとかき混ぜ、空気をいれます。
4 フライパンに接している面がしっかり焼けたところで、フライ返しを使って半分におりたたみます。そのまま火を通して好みのかたさになったところで火からおろしお皿に滑らせます。

 

あとはサラダを添えて完成です。

 

 

わたしとおばあちゃんの好みは、「よだれの出ているオムレツ」で一致しています。
夫は「そのどろっとしたナマ感、よだれという表現(omelette baveuse)が嫌い」なので よく焼きを好んでいます。

ところでオムレツについてはバター派とオリーブオイル派では完全に戦争状態になるのでおもしろいです。

 

 

 

 

 




掲載のレシピにつきましては、レストランに提供しているものもありますので、無断での転用などなさらないようよろしくお願いします。
なにか特別の事情があります場合は事前にご相談ください。